ながめせしまに

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人が自覚せず輝く瞬間 part1

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古代ギリシアの劇作家の言葉に

 

「舞台は烏の黒眼をあばく」(カラスの目は黒くてどこにあるかわからないことから、隠された才能のたとえ)

というものがある

 

というのはさっきコーヒー啜りながら考えたウソですが、舞台の上では才能やら本性やら人間のいろんなものが露わになるというのはたぶん本当。

 

僕はYouTubeで素人オーディション番組を見るのが好きだ。

そうすると、ごくごく稀に頭をハンマーで殴られるような、パソコンの前で口をあんぐり開けてコーヒーこぼしてしまうような才能を見つけてしまうことがある。

砂の中にキラリと光る宝石を見つけた気分になる。彼らは大抵オーディションを勝ち抜く。でも大衆に売れることはあまりない。結構かなしかったりする。

 

が、とにかく彼らの才能の一瞬の煌めきを知って欲しく、【独断と偏見で選ぶグッときたオーディションランキング トップ5】を紹介する。

 

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第5位

てつと

歌うたいのバラッド斉藤和義)』

https://youtu.be/R1ZsIT5FY7E 

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歌声のクセ度 ★★★★★

万人ウケ度 ★☆☆☆☆

マイク外しのキレ度 ★★★★★

 

すっごく正統派塩顔な大学生なのに、一度歌い出すとクセがすごい(©︎千鳥ノブ)

 

出だしの「Ah〜歌うことは〜」の時点だとヘタウマの類かと疑いつつ、盛り上がってくるBメロあたりから只者じゃない感が確信に変わり、ラスト大サビで完全に虜になったてつとワールドの被害者こと僕。

 

グッときたポイントは、呟くような優しい歌いかたと裏腹な大サビのパッション全開っぷり。

「情熱の彼方に」の部分で

じょぉぉぉうねぇぇつのぉぉ

と声が淀むのがたまらなく良い。

 

彼自身はソロと並行してぷらそにかというユニットも組んでYouTube・ライブ等活動してるみたいだけど、そちらではクセが控えめ。歌の上手い楽器も弾ける塩顔お兄さんと化しているので、もっとハジけて欲しいです(何様)。

 

 

第4位

Vincent Vinel

『Lose Yourself (Eminem)』

https://youtu.be/Y9oZZzLr3BU

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まさかその曲をそんな風に度 ★★★★☆

見た目とのギャップ度 ★★★★★

審査員のノリノリ度 ★★★★★

 

審査員が候補者の顔を見ずに審査することで有名なオーディション番組Voiceのフランス版。

 

審査員以外、観客含めた視聴者には動揺が広がるんですね、やや強めの斜視とあまりに歌いそうもないエミネムのラップソングという選択に。

 

でも彼はマジモンの天才で、あの複雑怪奇巧妙に練られたライムをことごとく自分のものにして見る者に届けてしまう。

 

歌唱力が飛び抜けてる訳ではないものの、圧倒的にアレンジがオリジナルなのが素晴らしい。他の動画にエミネムっぽく歌ってそれなりに賞賛されてる素人もいるが、個人的にはピッチが原曲とはだいぶ違ってもニュアンスを自分なりに再解釈してリズムにブチ込んでるVincent君の方が100倍好きです。

 

アレンジ力とフェイクが光るのでカバーアルバムなんか作って欲しい。即買いするから。

 

 

第3位

Grace VanderWaal

『I Don’t Know My Name(original)』

https://youtu.be/eNxO9MpQ2vA

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アメリカンドリーム度 ★★★★☆

ハスキーボイスフェチ度 ★★★★★

将来有望度 ★★★★★

 

AGTというアメリカのオーディション番組から。何年か前にダンサーの海老名健一が優勝してるやつですね。

 

少しアンニュイな表情でウクレレを携えてる少女、という時点で「かわいーい!下手でも応援しちゃう!」雰囲気の会場。

特筆すべきは衆人環視のオーディションに自分で作った曲で挑むその胆力であり、一歩間違えばダダ滑りしかねない。

 

がしかし、彼女はモノが違った。

 

ハスキーでメロウな歌声で観客の好奇の眼差しを黙らせると、曲名通り『自分の名前がわからない』状態から自我を確立させるためにもがくというメッセージを、しっかり観客のひとりひとりの心に直接届けていくかのようなパフォーマンス。

 

難曲をテクニカルに歌うでも、ハイトーンボイスで素人離れした歌声を見せつけるでもないのに、なぜか目が耳が離せない。きっとそれは彼女が偽りのないホンモノを歌声に乗せて届けてるから。

 

12歳とは思えない完璧なボーカルコントロールを経て、大サビで『やっと名前を見つけた わたしはわたしの道を進む』と高らかに宣言するカタルシスに、会場はまるで一流アーティストのアンコールのように心震わされる。

 

毒舌意地悪審査員で知られるサイモンコーウェルをもってしてnextテイラースウィフトと言わしめたGraceは、その後コンテストの階段を一気に駆け上がり優勝。

 

アメリカではティーンズアワードに出たり、テイラー本人と共演したりと露出は少なくなく、日本にもスッキリ生出演するなどこのランキングの5人の中では最も”売れている”才能だと思われる。

 

個人的にはnextテイラーなる重すぎる肩書きは無視してw、じっくりホンモノを伝えられる歌手になってほしかったりする。

 

30、40になっても活躍する息の長い歌手になりますように。

 

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えー長くなったので残りは第2回に譲ります

part2に続く